敷地と家の関係性

2021/02/21

家づくりを始めて、SNSや住宅雑誌を見たり、
モデルハウスや見学会に足を運び、
たくさんの家に触れていると、
実現したい様々な要望が
どんどん積み重なっていくことと思います。

しかし、間取りは要望だけで決まるのではなく、
実際は、その土地の環境に大きく左右されるため、
土地を無視したままで要望を固めていくことは、
決してオススメ出来ることではありません。

そうしてしまうことによって、
逆に住みにくい家が出来上がってしまう
可能性が高くなってしまうからです。
また、無駄なコストが余分にかかる可能性が
高くなってしまうからです。

例えば、あなたが、
南全面にリビングダイニングキッチンを配置したい・・
そして、南に大きな窓をつけたい・・
という要望をお持ちで、
その実現が家づくりの絶対条件だと仮定します。

しかし、すぐ南に家が建っている土地に
家を建てないといけないとしたら?
まず考えられることは、
そもそも日が充分に当たらなくなり、
南にリビングをつくったにも関わらず
家が薄暗くなってしまうということです。

また、その土地は、
すぐ南に建っている家の裏口や裏面が見えるため、
いつも過ごすリビングの大きな窓から見える景色は、
散乱したゴミや、換気扇や窓から垂れる汚れやコケ、
エアコンの室外機や給湯器といった
生活感に溢れたものばかりになってしまうため、
それを隠すためカーテンを閉めざるを得なくなってしまい、
さらに家の中を薄暗くすることになります。

では、南に家が建っていない、
あるいは建つことがない土地であれば、
その要望の実現は問題ないのでしょうか?

この場合、日当たりを阻害するものがないため、
一見、南につくったリビングには、
日光がサンサンと降り注ぐように感じます。

しかし、リビングが外から丸見えになってしまうとしたら、
それを防ぐために、
カーテンを閉めた状態にせざるを得なくなるし、
おそらくこの先ずっと、
そのカーテンを開けることが出来ないかもしれません・・・

それゆえ、その条件が絶対だとしたら、
外からリビングが見られないような
土地を選ばないといけないし、
そうなれば、家が密集して
建っていない地域にする必要があります。

つまり、土地の予算を上げずに
その要望を実現しようと思うと、
住む地域を変更せざるを得ないというわけですね。

あるいは、それが出来ないのであれば、
希望する地域でより広い土地を購入しつつ、
さらに、敷地の南には視線を遮断するための
塀の工事を施す必要があるかもしれません。

つまり、土地代と庭代に、
より多くのコストを掛けざるを得なくなってしまう
というわけです。

✔︎住む地域とコストと住みやすさと

家づくりでは、住む地域も大切だし、予算も大切です。
また、住みやすさも大切なので、
このバランスが取れた家づくりをしなければいけません。

そして、そのためには、
“間取りは環境に合わせてつくるものである”
という基本原則を守ることが必要不可欠です。

たとえ南に家が建っていても、
リビングに南からの光をたっぷりと採り込むことは出来るし、
南に建っている家の汚い裏面を
眺めながら暮らす必要もありません。

また、丸見えという犠牲を払ってまでして、
一番南に大きな窓をつけなくとも、
リビングに南からの光をたっぷりと採り込むことも出来ます。

そして、どんな土地であったとしても、
全ての部屋を自然の光だけで明るくすることも出来ます。
もちろん、プライバシーもしっかりと確保しながら。

これらの問題は、
全て土地によって解決出来ることではなく、
全て設計によって解決出来ることです。
環境に合わせて間取りをつくることによって、です。

なので、土地を決める前に
要望だけを固めてしまわないように、
注意していただければと思います。
あくまで間取りは環境に合わせてつくるものですから。

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